私は、小さい頃から理科が大好きで、そのまま化学科に進学、電機メーカーでリチウムイオン二次電池材料をはじめとした新規電池材料の研究開発を2010年末までしていました。

研究者としての20年間は、苦しいこともたくさんあったけれど、本当に楽しく充実していました。

自分の好きな学問を仕事に出来るってとても幸せなことだなぁ、といつも思っていました。

ご縁があって、2008年から年に1度ずつ、大学の「工業化学概論」という授業の中で講義をさせていただく機会を得ました。

私が入社した頃は、世の中にはリチウムイオン二次電池などと言うものはなく、まさに何もないところから物を創り出すというとても貴重な経験の連続で、産みの苦しみと喜びを存分に味わいましたが、今では、リチウムイオン二次電池は、高校の教科書にも載っているのですね。

7年続けた大学で教える仕事ですが、もう現場を離れてしばらく経つので、この仕事は、手放して次の人に引き継ぐことにしました。

新しいことを研究できる立場にはいないので、年々マンネリ化してしまう自分の授業が学生さんたちから見てつまらないだろうな、と思ったからです。

手放すと決めて、でも最後の仕事はきちんと丁寧にやりたかったから、毎年やっている作業ではあるのですが、もう一度自分の作った資料にじっくりと目を通し、業界の最新動向も調べ、授業にのぞみました。

受け持っている学生さんは、3年生と4年生。

私が就職した頃とは随分事情も変わり、厳しい時代となっています。

授業の導入部分です。

「(私が就職した)1991年と言うと、もう皆さん生まれる前のことですから、随分昔のことと思われるかもしれません。

今ほど働き方にバラエティがなく、今よりも、『大企業に就職する』と言うことが価値のあることのように言われていた時代です。

確かに今ほど就職は大変ではなかったとは思いますが、まだ女子が男子と同等に仕事をする、ということが一般的ではない時代で、特に理系の女子は数も少なく、大変なこともたくさんありました。

そんな中で、20年間、充実した研究職生活を続けてこられたのは、周りのサポートがあったのはもちろんですが、自分がこの仕事を本当に好き、楽しいと思えていたからだと思います。

今、就職も厳しいと思います。

自分が好きと思える仕事に出会えることは、とても幸せなことですので、ぜひ、学生さんのうちに色々な人の話を聞いて、自分が一生の仕事としたいのはどのようなことなのか、ということを模索してください。

今日の講義を通じて、リチウムイオン二次電池ってどんなもの?ということを学んでいただいてもいいですし、電池そのものには興味がなくても、研究開発の現場ってどういうことをするのだろう?という好奇心を満たす一端としていただいてもいいと思います。

社会科見学のつもりで聞いてみてください。」

1人1人の学生さんが、これから社会に出て、幸せと感じられる道を歩んで欲しい、そんな願いを込めました。

その甲斐があってか、今回は、授業が終わってから、わざわざ教壇にいる私のところまでやってきて、「ありがとうございました」と、丁寧に礼をする学生さんが何人も。

ちょっと感激しました。

メーカーでの研究開発の仕事は辞めてしまいましたが、私の中には、いつでも理系マインド、研究者スピリットがあります。

今の、自然療法家、ホメオパスとしての仕事も大好きではあるのですが、こうやって、研究職時代のことを書いていると、なんだか感慨深くてちょっとうるうるしてきます。

大きなものを手放して、また学生さんにも、私にも、次に引き継いでくださる方にも、よい氣がめぐってきますように。

私も立場は変わっても、生涯、謙虚に研究者でいたいと思います。

・・・あ、まだ採点の仕事が残ってた(^^ゞ

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