久しぶりに息子が熱を出した。

火曜日の夜中に、隣に寝ている息子が妙に熱かった。触ってみたら汗をびっしょりかいていたので、着替えさせてやった。朝、起きてみたら平熱。狐につままれたような気持ちで保育園に送り出した。

そして、午後、職場に保育園から電話。「お昼寝中に39.2度までお熱が上がりました」 。

・・・・・。

木曜日は遠足だから、できれば元気になって行かせてやりたい。あわてて仕事を片付けて迎えに行った。
安心したように寄ってきたが、確かにすごく熱い。帰宅して測ったら40度弱。

さあ、日ごろの勉強の成果が試される・・・。

まずは抱っこ、お手当てをして、横にならせつつ、観察、観察、観察。質問、質問。

その結果を言葉に表現し、repertoryと呼ばれるホメオパシーの辞書から引いていく。

出来るだけ多くの症状が当てはまるいくつかの候補レメディを選び出し、この中から今の息子の全体像に合っているものを選び出す。

ここのところ、レメディ選びに多少は慣れてきて、うまくはまるレメディを選び出せる確率が高くなってきている。

・・・・が、惨敗した。火曜日、水曜日とレメディを3つほど選んだが、どれを飲んでも状態はびくともせず、40度を越える熱が続いている。あせりつつ、かなりへこんだ。

私たちの学校では、あまりどんどんレメディを試すことは、生命力を混乱させるとの理由から、禁じられている。2、3つ試してダメならば、専門家の診断を仰ぐようにと。

久しぶりに小児科を受診することにした。

特に重篤な病気でも感染症でもないことが診断され、喉が酷く腫れて赤くなっていることが指摘された。「喉が苦しい」とは言っていたが、「痛くはない」と言っていたので、この症状は見逃していた。若干の自己嫌悪。

水曜日夜、しいたけスープも飲まず、ほとんど食欲の無かった息子に足湯をさせて寝かしつけた。どうしよう・・・と、PCの前に座っていたとこへ、SKYPEのランプがピカピカ。

全然気付いていなかったが、今日は、学校のチャットの日だった。普段はPCによる通信教育が主であるという不便さを埋めるため、校長のNickは、週に1回チャットの時間を設けてくれている。雑談でも、質問でも何でも・・・ということで。

チャットをする気力も、ネタもないな・・・なんて思いながら、呼びかけられているし、ほかに誰も応じている人もいないようなので、一応「今日だって知らなかった。今、熱のある息子を寝かしつけたところ。レメディがうまく選べなくて、かわいそうに・・・」なんて書いてみた。

そしたら「何を試したの?一緒に考えてみよう」というありがたいお言葉。名スーパーバイザーでもある名ホメオパスのNickに導かれるまま、今の状況をどんどん書いていった。

人に説明することで(しかも英語で)少しずつ、色々客観的に見えるようになってきて、自分の処方が違った、ということがだんだん見えてきた。そして、書きながらも自分がruburics(症状を説明する、索引のようなもの)として全然拾い上げなかったものがどんどん見えてきた。

自分のフィルタ、自分の偏見。一番近くにいて、一番じっくりと冷静に見ていたつもりが、随分とバイアスがかかっていたことに気がついた。

2時間みっちりやりとりをして、思いつきもしなかったレメディが出てきた。鮮やかさに感嘆すると共に、全然思いつかなかった自分に半ばあきれた。

寝ている息子の口に、レメディを入れてやり、ドキドキしながら経過を待った。夜中、息子はしゃべり続け、何かを発散し続けていた。

木曜日朝、熱は38度台へ。そして、いきなりの嘔吐。

大量の痰?鼻水?を吐き出した。すごい!これがずっと身体の中にあったなんて、辛かったろう。よくがんばったね。

すこーしだけすっきりとした顔で、「ちょっと楽になった」と。「遠足、行けないね」と自分で納得。

午後から実家で見てもらい、私は、出社。しかし、その夜また熱は急上昇。お腹が痛いといいつつ、40度を越えた。

一日、何も食べず(あの食いしん坊が!!)、ほとんど何も飲まず、じっと座っているか寝ているか、体重も一気に減ってしまった、息子。

不憫だ、心配だ、仕事に行かなくてはいけない自分が情けない。このレメディが合っていることには確信があったから、リピートしたい気持ちを抑えつつ、Nickにメール、時差がもどかしい・・・。

まだホメオパシーに少し懐疑的である夫は、「こんなに高熱が続いたら、脳に悪影響があるんじゃないか?」「脱水症状になってしまうんじゃないか?」と。

私の気持ちも揺れる。自分の病気だったらはっきりわかることも、子供のことだと、色々フィルタがかかってしまう。

夫と相談し、期限を決めたところで、明け方にNickからメール、リピートの許可。

その後も乱高下を繰り返したが、エネルギーの高いレメディをもう一粒与え、多くの助けを借りて、息子は、ようやく乗り越えた。金曜夜中に感情のエネルギーを爆発させ、発熱から5日目の今朝、すっきりとした顔で起きてきた。

よくがんばった。随分つらい思いをさせてしまったが、これでまた大きく成長するだろう。

本当に親身になって助けてくれたNickはもちろん、仕事をサポートしてくれた仲間、息子を預かってくれた母、りんごやバナナを届けてくれた保育園のお友達、レメディを快く分けてくれたひもろぎ庵の恩師、メールで励ましてくれた多くの友人、たくさんの方に支えられ、家族でなんとか乗り越えることができた。本当に感謝している。

まだ微熱はあって本調子ではないが、週末は家でのんびりべたべたしながら、回復を待とうと思う。

多くのことを学び、感謝した試練だった。