ご縁があって、時々中学高校の理科の先生の集まりに参加させていただくことがあるのですが、今回、この先生方の勉強会(SCN神奈川)で私の前職の話をさせていただくことになりました。
「リチウムイオン二次電池 ・・・研究・開発の観点から・・・」
(社名が写ってしまっていますが、きちんと決裁を通した資料です・・・念のため)
昨年、私の元上司が、「工学のノーベル賞」とも言われるチャールズ・スターク・ドレイパー賞という賞を受賞したのですが、世に出て20余年、あらゆるモバイル家電に搭載されるようになり、また最近ではEVやオフグリッドのための据え置き蓄電池としても使われるようになり、リチウムイオン二次電池もすっかり有名になりました。
私がこの上司の下で研究開発に携わり始めた頃は、まだ世の中には出ていませんでしたから、教科書はおろか論文もほとんど見当たらない状態でした。
私など、優秀な諸先輩方に必死についていくような感じではありましたが、それでも毎日産みの苦しみと喜びを味わった、本当に濃い、かけがえのない日々でした。
会社も辞めたし、大学の講師の仕事も卒業したし、もしかしたらもうこの話をするのは、一生で最後になるかもしれません。
最後かもしれないこの話を聞いて下さるのが、勉強熱心なこの先生方だということで、恐縮もし、緊張もし、でも一方で嬉しくも思いました。
1時間の話を終えたあとも、30分以上も次々といろいろな質問が投げかけられ、先生方の熱心さに頭が下がるとともに、久しぶりに電池のことでわくわくし、楽しくお話をすることができました。
そのあとは、いろいろな学校での取り組み、先生方の演示実験の例や、悩み相談など、活発に会は進められました。
こちらは、100円ショップで売っている植物の水やりのための素焼き容器を応用したダニエル電池。
亜鉛棒と銅線で、時計がちゃんと動きます。
こちらは、太陽光発電を用いて水を電気分解したあとに、生成した酸素と水素を燃料電池に使い、車を走らせることができるような実験おもちゃ。
学校教育や受験に関しては、さまざまな議論があります。
今の学校の先生方は、本質的な部分以外でとても忙しそうだなぁ、と思うことも多々あります。
そんな中で、無難で形骸化された授業が多く行われている、という残念な話も聞きます。
「理科離れ」という言葉が広まって久しいですよね。
でも、今回の勉強会に参加させていただき、科学のワクワクを忘れることなく、生き生きとした授業をするために研鑽を積み、切磋琢磨されている先生方がこんなにもたくさんいらっしゃることも知り、とても嬉しく思いました。
と同時に、どんな道に進んでも、私はやっぱり理科が大好きな人間で、この「理科好き」を生かしてこその私の持ち味があるのだな、とも感じました。
会社員時代とは違う形だけれど、これからもずっとずっと、何らかの形で科学と関わっていきたいという思いを新たにしました。
そういえば、私の講座、別にそんなアピールをしているわけではないけれど、「科学者としての視点からの自然療法の話は、わかりやすい」とのご感想をいただくことが多いなぁ。
私にとって、何より嬉しいお言葉です。
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