安曇野にある、自然農と玄米菜食の宿、舎爐夢(シャロム)ヒュッテ。
一度は訪れたいと思いながら、なかなかその機会がなかった。
自然農という農法があることを知ったのは、自然療法の授業の中で。最初は、なぜ、自然療法で自然農を学ぶのかがわからなかった。
「草や虫を敵としない」自然農と、「病を敵としない」自然療法がある日突然繋がるまでに、随分な期間を要した。
薬漬けの医学から、漢方・中医学・ハーブ療法への進歩は大きいが、それでもどちらも「病は排除すべきもの」と考える。
「病も含めた私自身」を受け入れて癒すホメオパシーは、激的な発想の転換が求められる。
それは、農業で言うなら、まさしく現行農法→有機農法 そして、自然農への転換だ。
それでもずっと長いこと、自然農もパーマカルチャーも、その理念は素晴らしいが、東京に住んでいて、仕事ももっていたら、とてもね・・・と思っていた。
そんな頃、「パーマカルチャーしよう!」という本と出会った。
そうか、完璧にやるのは無理と、遠い世界のこととして受け止めるのではなくて、ほんの小さなことでもいい、自分の身近なところから始めよう、という気持ちにさせてくれた。
そして、この「パーマカルチャーしよう!」を作られたのが、舎爐夢のマスター臼井さん率いるメンバー。
事前に友人の話やら、HPやら、本やらで情報は得ていたけれど、実際に自分の身を置いてみたら、全然ちがった。
建物全体が、畑全体が、笑って呼吸をしている。
不耕起の畑(雑草は、抜かず、必要なときのみ刈り取り根を残す。畑は耕さない。
そうすることにより、地中の根が腐り、土は団粒化し栄養に富むようになる)は、本当にフカフカで、沢山の虫たちがせっせと働いていた。
ひまわりに、キュウリが巻きつき、栗の木に茄子が寄り添っていた。
手作りの宿は、隙間風やら、トイレやら、きっと色々我慢しなくてはいけないのだろう、と思っていたが、全然そんなことはなかった。
温かみのある壁と柱、そして実際に保温効果の高い二重窓は、全て廃材から作られたという。
ショップのストローベイル(藁を束ねたブロックと土で作る)壁も素敵だった。
くつろぎスペースの天井まである本棚の本は、垂涎の的。
親子三人で読みふけったりもした。
そして、採れたての野菜で作った美しいマクロご飯の美味しかったこと!(思わずレシピ本を買ってしまった)
素晴らしかったのが、「あずけ鉢」 。
自分のお皿の上で食べきれないと思ったものは、お箸をつける前にこの「あずけ鉢」へ。テーブルで処理できなかったら隣のテーブルへ。
それでも食べきれなかったものは、スタッフの方が。「みんなが平和に暮らせます。」と。
全てにおいて心が行き届き、そして平和に出来ていて、心底くつろいで時間を過ごした。
みんながこんな風に暮らせたら、世の中もっともっと違ったものになるんだろうな、 そう感じさせてくれた、心地のよい宿だった。
Shalomとは、ヘブライ語で「平和」という意味なんだそうだ。