常日頃から、「お台所には化学がたくさん」、「日々の生活には理科がいっぱいころがっている」と、科学の楽しさをお伝えしたいと思っているわたしですが、今日は、心揺さぶられるような、楽しい理科の体験をしました。

わたしと息子以外ご一緒したのは、ほとんど理科の教員の皆さんでしたので、贅沢な体験。

金沢・金の科学館 四ヶ浦弘さんによる「実験で楽しむ宮沢賢治 サイエンスファンタジーの世界」。

作家、詩人としてよく知られている宮沢賢治ですが、実は理科の教員をやっていたこともあり、また、法華経の熱心な信者でもありました。

宮沢賢治の著書には、あちらこちらに理科が散りばめられているのですが、これを一つ一つ読み解き、具体的な実験に組み立てよう、と言うのが四ヶ浦さんの試みです。

4時間の講座は、本当にぎっちり盛りだくさんだったのですが、その中からいくつか。
(動画のアップロードがわからないので、FBのリンクをはります。見えるかな?)

CGなんかより、ずっとずっと宮沢賢治の世界が鮮やかに浮かび上がってくる実験の数々です。

このほかにも金の町、金沢らしい金・銀・白金・真鍮の箔を用いた様々な実験など、ちょっとした工夫でよりドラマティックに演出されたものもたくさんあり、改めて人を惹きつけることの大切さも感じました。

宮沢賢治の、「美しいものを見ていきたい」と言う思い、そして作品全体を貫く思いやりの心に強く打たれました。こんな風な感性豊かな科学の見方、もっともっとみんなに知られるといいなぁ。

そろそろ湘南エリアでも、実験教室をやらせていただける機会ができるといいな。

文学とアートとサイエンスが融合した瞬間。

ルビーより赤くすきとおり
リチウムよりもうつくしく
酔ったやうになって
その火は燃えてゐるのでした
(「銀河鉄道の夜」より)

元素周期表の中でわたしが一番好きなリチウムの炎色反応は、鮮やかな紅。

炎色反応は、さまざまな作品のなかに出てきます。

https://www.facebook.com/momoe.s.adachi/videos/pcb.1490244744380205/1490244507713562/?type=3&theater

https://www.facebook.com/momoe.s.adachi/videos/pcb.1490244744380205/1490244507713562/?type=3&theater

融銅はまだ眩めかず
白いハロウも燃えたたず
地平線ばかりあかるくなつたり陰つたり
はんぶん溶けたり澱んだり
しきりにさつきからゆれてゐる
(詩集[春と修羅]のなかの「真空溶媒」より)

孔雀石を炭素の中に入れ、バーナーであぶる実験(吹管分析)。

実際に肉眼で見ると、ちろちろとしたきらめきが生きているかのようでもあり、澄んだ光がとてもピュアなものでした

https://www.facebook.com/momoe.s.adachi/videos/pcb.1490244744380205/1490244564380223/?type=3&theater

https://www.facebook.com/momoe.s.adachi/videos/pcb.1490244744380205/1490244564380223/?type=3&theater

カムパネルラは、そのきれいな砂を一つまみ、掌にひろげ、指できしきしさせながら、夢のようにいっているのでした「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている」
(「銀河鉄道の夜」より)

水晶を強くこすり合わせた時に、放電が起きて発光する、摩擦ルミネセンスという現象。実験そのものも美しいのだけれど、巨大な水晶の結晶を惜しげもなく使わせてくださる四ヶ浦さんの太っ腹ぶりにもびっくり。

https://www.facebook.com/momoe.s.adachi/videos/pcb.1490244744380205/1490244594380220/?type=3&theater

https://www.facebook.com/momoe.s.adachi/videos/pcb.1490244744380205/1490244594380220/?type=3&theater

つまりこれはそらからの瓦斯の気流に二つある
しようとつして渦になつて硫黄華ができる
(詩集[春と修羅]のなかの「真空溶媒」より)

アルコールを燃やしながら、周りの金網を回転させることで2つの気流をぶつからせ、まっすぐ上に向かう上昇気流を作る実験。

https://www.facebook.com/momoe.s.adachi/videos/pcb.1490244744380205/1490244641046882/?type=3&theater

CGなんかより、ずっとずっと宮沢賢治の世界が鮮やかに浮かび上がってくる実験の数々です。

このほかにも金の町、金沢らしい金・銀・白金・真鍮の箔を用いた様々な実験など、ちょっとした工夫でよりドラマティックに演出されたものもたくさんあり、改めて人を惹きつけることの大切さも感じました。

宮沢賢治の、「美しいものを見ていきたい」と言う思い、そして作品全体を貫く思いやりの心に強く打たれました。こんな風な感性豊かな科学の見方、もっともっとみんなに知られるといいなぁ。

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