今日は、わたしがnoteで書き始めたシリーズ

【ホメオパシー大全】から、転載します。

ホメオパシーのことを、科学者としての視点も交えながら、

できる限り丁寧に書いていくシリーズです。

よろしければ、ぜひnoteにも遊びに来てください。

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「砂糖の粒が、なぜ効くのですか?」

ホメオパシーに関心を持った方が、
最初にぶつかる疑問は、たいていここです。

わたし自身もそうでした。

実を言うと、「なぜ効くのか解明してやる!」というのが、
最初に学び始めたモチベーションでもありました。

今でも、完全には説明できません。

でも、「効いて」しまうのです。

 

科学者として20年を過ごしてきたわたしが、

その問いと向き合ってきた過程を、

できる限り誠実にお伝えしたいと思います。


■ レメディの作り方

ホメオパシーでは、「くすり」のかわりに

「レメディ」というものを使います。

植物・鉱物・動物など、自然界にあるものを原材料に作られるものです。

作り方はこうです。

原材料をアルコールや水に溶かし、

「薄める→強く振る」という工程を、繰り返します。

薄めて、振る。また薄めて、振る——

この繰り返しによって作られたものを、

最終的に砂糖の粒に染みこませ、舌の上でとかします。

 

この「薄める→振る」の回数は

レメディによってさまざまですが、

おそらく、多くの方が想像しているよりもはるかに薄くまで希釈するのです。

例えば、ごく一般的なもの、

ラベルに「30C」と書いてあるものであれば、

100倍に薄める→振る、という操作を30回繰り返します。

これがどれくらいの希釈度かと言うと——

水1滴を、銀河系全体を満たすだけの水で薄めるくらい。

まさに、「天文学的」な希釈です。

つまり、もとの原材料の分子は計算上1つも含まれていない状態になります。


■ 「薄めるほど強くなる」とはどういうことか

ここで、最大の「謎」が生まれます。

砂糖の粒に染み込ませているのは、成分分析上は「単なる水」です。
(実際に、わたしは実験室でこの分析もしてみました)

物質がないのに、なぜ働くのか——

 

ホメオパシーには二つの原理があります。

(1) 似たものが似たものを癒す(The Law of Similars)

(2) 薄めれば薄めるほど、インパクトが大きくなる(The Law of Minimum Dose)

(1)については、はるか昔から各民族・各家庭で多くの伝承がされてきました。

「喉のヒリヒリした痛みに、葱や生姜がよい」

「むくみには、腎臓の形によく似た小豆がよい」

「軽いやけどには、冷水ではなくぬるま湯がよい」

こういった知恵は、ホメオパシーの原則と根っこでつながっています。

問題は、(2)の方です。


■ 「水の記憶」という仮説

最も有名な仮説は「水の記憶」です。

原材料を水に溶かし、薄めながら強く振る過程で、

水が原材料の「形」を「鋳型」のように写し取り、

隣の水分子へと伝えていく——

何十回、何百回と繰り返すことで

原材料そのものの濃度は限りなくゼロに近づくが、

水にはその「鋳型」が着実に写し取られていく、という考え方です。

 

2008年にノーベル医学生理学賞を受賞した

リュック・モンタニエ博士も、関連する研究を発表した一人です。

彼は、高度に希釈された水溶液が

電磁波シグナルを発するという現象を報告しており、

「水が何らかの情報を保持しうる」ということを示唆しました。

 

ただし、これがホメオパシーのすべてを説明する

というようなデータが示されたわけではありません。

ですが最近になって、

さまざまな波長の光を当てて応答を分析する

「分光分析」による水の研究が進化してきており、

何かしらがわかってくる日もそう遠くないと考えています。


■ わたしが考えること——「彩り」という言葉

個人的には、シンプルに「水が鋳型となって……」とは少し違う、

もう少し繊細なことが起きているのではないかと感じています。

 

源物質が薄められ、強く振られていく過程で、

その物質が持つ固有の微細な何か——わたしはそれを便宜上「彩り」と呼んでいます。

「エネルギー」という言葉も好んで使われますが、

この言葉は物理学的には明確な定義があります。

だからこそ、それを流用することに、

電気化学(つまりエネルギー科学)のバックグラウンドを持つ者としては

少し抵抗があるのです。

 

その「彩り」が、希釈振とうの過程で花開くというか、

「展開」され、強められていく——

まだ明確に定義づけられていない今は、そのように伝えています。


■ 「生命の本質は、あいだにある」

この問いを考えるとき、

分子生物学者・福岡伸一博士の言葉がいつも浮かびます。

博士は著書『生物と無生物のあいだ』の中で、

生物を「動的平衡が成り立っているもの」と定義しています。

 

「生きている」とは、

常に細胞やそれを形作るさらに小さな粒子が入れ替わりながらも、

マクロで見ると元の「形」を保っているような状態——

そして博士はこうも記しています。

「生命の本質は遺伝子や細胞といった要素にあるのではなく、

要素と要素の関係性、それらの『あいだ』で起きる相互作用にこそある」

この「あいだ」で起きる相互作用こそが、

ホメオパシーのレメディが働きかけているところではないか——

とわたしは考えています。

 

動的平衡を保っている生命のさまざまな層にレメディが入っていくことで、

生命に、本来の在り方を「思い出させる」。

今起きている不具合を解消する方法を「思い出させる」。

そのような作用が起きているのではないかと、推察しています。


■ 「力を引き出す」という発想

ハーネマンは、「薄めて振る」というこのプロセスを、

「潜在する力を引き出す」という言葉で表現しました。

 

英語では「potentization(ポテンタイゼーション)」——

ポテンシャルを引き出す、とでも言いましょうか。

「薄める」のではなく、「力を引き出す」。

その言葉の選び方の中に、230年前のハーネマンの確信が見えます。

 

説明できないことを、「ない」と言うのは簡単です。

でも、科学の歴史を振り返れば、

「説明できない現象」が後に「説明できるもの」になった例は無数にあります。

わたし自身も、そのような現場にたくさん立ち合ってきました。

現段階では説明しきれない。

でも、効いてしまう。

それが、わたしの正直な立場です。

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