科学の道に進んだ私に、最初に、そしてもしかしたら最も大きな影響を与えてくださった恩師は、佐藤邦昭先生。小学校の時の理科の先生です。
夏休みに、「ひまわりの花は、上に大きな花が一つ咲いているものだと思っていたのに、時々脇からいくつも小さい花が出ているものがあるのはなぜ?」と思い、暑中見舞いに質問を書いたところ、便せん6枚のお返事をいただいて、感激したのが最初の記憶です。
私は、全然覚えていないのですが、佐藤先生によると、私が小学校1年生の時だったそうです。
1年生なんて、まだ理科の先生ではなく、担任の先生にしか教わったことがなかったのに、本当?との私の疑問に、「絶対、そう。Chez MOMOちゃんってどんな子なんだろう?と思ったから」だそう。
もしかしたら、担任の先生が私の質問を佐藤先生に回して下さったのかもしれません。
小学校中学年になってからの児童会、「栽培園芸部」も佐藤先生、高学年になってからの自由研究、「理科部」も佐藤先生。
特に植物に対する造詣の深い先生で、どんな草花のことを聞いても、詳しく教えて下さる、一緒に歩いていると、道端の草をの前でふと立ち止まり、「この葉っぱをかじってごらん」とか、「この茎をよーく見てごらん」と、たくさんの楽しいことを体験させて下さる、というのが私の印象でした。
そんな佐藤先生の草笛、草玩具の講座が近所の喫茶店であるよ、と小学校時代の友達が誘ってくれて、息子と一緒に行ってきました。
20年以上ぶり位(小学校卒業からは、もっと年数経っていますが・・・!)にお会いする佐藤先生。
どんなに私が熱い思いを持っていたとしても、毎年たくさんの生徒を、何十年も教えてこられたのだから、覚えていらっしゃらないだろうな、と思いつつ、高まる心を抑えて自己紹介。
最初は、うーんと考えていらっしゃいましたが、「ああ、化学科に進んだ!」と思いだして下さいました。(そのあと、しばらくして、「あぁ、そうそう、少しずつ思いだしてきた。ひまわりの質問をくれたね」とおっしゃってくださいました!)
小学生だった私たちにも、たくさんの草遊びを教えて下さった佐藤先生ですが、今は、急速に忘れられつつある草木を使った遊びの普及につとめられているそうです。
その中から、今日は、笛編4つ・・・
(1)つつじの葉。
つつじの葉を横向きに持ち、下半分をした唇にあて、上の縁を上唇に軽く当てて、ふるわせます。小学校の頃、やった覚えがあるのですが、今日は全く音が出せませんでした!
(2)もう少し簡単な、アシ。
2本の親指を並べた隙間にアシ笹の葉を挟み、息を吹き込んで震わせます。これは、ずっと継続してやっているから、できます!でも、私は、ただ「ぶーっ」と鳴らすだけですが、先生は、ちゃんと曲を奏でておられました!
(3)斜めに切った細い竹に切り込みを入れ、納豆のまわりについているフィルムをリードにして挟んだもの。
ほとんどの準備を先生がして来て下さったので、みんな簡単に音が出せました。風船をつけて、ぶーぶー鳴らしたり。
そして、クライマックスは、
(4)イタドリの笛。
これも、先生が準備してきてくださいました。片側に節を残し、片側は解放させたイタドリ(秋になって乾燥すると、まるで竹のような堅さをもつそうです)に、ビール瓶笛のように息を吹き込むと、柔らかい、温かみのある音がします。先生は、これを音階に調律してくださっており、一番下は年長さん、上はおじいちゃんで「きらきら星」を演奏しました。
佐藤先生の演奏して下さった「埴生の宿」は、うっとりするような音色でした。
そのあと、クロマツと椿の葉を使って、虫かごを作ったところ、先生がシュロで本物と見まごうようなバッタを作って下さいました。
わぁ!と、思わず子どもの頃のような歓声をあげてしまいました。
「作ろう草玩具」という先生の著書にも作り方が載っているそうで、すぐに購入してしまいました。
Amazonでも取り扱いしているようです。
懐かしく、どきどき、わくわくしながら、あっと言う間に気付けば2時間以上。科学の道を選択した私の原点を思い出させてくれた、豊かな、豊かな時間でした。