桃の節句を知らないひとたち

日本には、昔から女の子の健やかな成長を感謝し祈る習慣がある。
どれほどこれがありがたいことかということを、昨日は感じさせられた。

【国境なき医師団】の一員として活動している妹夫婦が、半年間のアフガニスタンでの
活動から帰国したのを機に、自宅で開いた報告会に参加してきた。

国境なき医師団と言うと、戦場に送り込まれる医師たち、というイメージが強いかもしれないが、
実際に医療が足りていない世界中の現場に赴くのは
医療従事者の活動を支える事務方やロジスティックスのメンバーも多い。

妹は、人事や経理を担当する1人（妹の夫は看護師）。

女性として生まれたというだけで、想像を超える理不尽な扱いを受けている人たち
そのようなことがまかり通っている国や地域は、世界にあり、
今回の彼女たちの任務地は、タリバンが権力を掌握している、そんな場所の１つ。

教育の機会を与えられない、仕事をすることが許されないというばかりでなく、
事実上の身売りや、DV、
そして、
顔や体を隠さなくてはいけない、家族以外の男性と接してはいけないというのは、
宗教上の習慣と片付けられ勝ちだが、
実際のところは生活上の自由をほぼ奪われているという現状（そしてそれがさらなるDVに繋がることも多い）。

うっすら、遠い外国のこととして聞いたことがあっても、
身近な人の口から語られると、
鳥肌の立つような恐ろしさと、
それに対して何もできない、歯ぎしりをしたくなるような焦燥感となる。

実際、写真を撮ったり報道したりすることが、
諜報活動（スパイ活動）とみなされ、殺害されたり投獄されたりするリスクとなることもあるから、
ますます国ごと密室のようになってしまっている。

今のわたしにできることは、あまりに少ない。

が、少なくとも、寄付からのみ資金を得ている【国境なき医師団】に寄付をすることや、
このような現状と活動があるよ、ということを、こうやって細々とでも伝えることなのだろうか。

平和な国に生まれ、命を脅かされる可能性など考えずに日々生活できるということが、どんなに幸せなことか。