友人からの薦めや、書評などで気になった本があると、すぐに図書館にリクエストします。
・・・で、忘れたころにやってきます。
この本もそのような本の一冊。信頼する友人に推薦してもらった本です。
「海にはワニがいる」
生まれ育ったアフガニスタンの村でのタリバーンによる迫害から逃れるため、隣国パキスタンに連れて行かれ、そのまま母に置き去りにされた10歳の少年。
その少年が、生きるために働きながら、まさに命がけで5つの国境を渡る実話です。
生き延びるために自分の国を離れなくてはいけない、「難民」。
日本で生まれ育ち、あたりまえに日本人として生活している私には、少年の生活は想像することも困難です。
感情を交えることは辛すぎたのでしょうか、旅路は終始淡々と語られていますが、それがより一層過酷さを描き出しているような気がします。
10歳の少年がこのような過酷な運命にさらされたら、「ワル」になって当然のような気がします。
人としての尊厳を踏みにじられるような目にばかりあいながらも、この少年は、常に尊厳を持ち、ぎりぎり限界(以上)の時も人を思いやる心を忘れなかった。
そんなことに、胸を揺さぶられました。
自分の息子と同じ10歳。
遠い話のようだけれど、私たちは、たまたま日本に生まれただけ。
そう思うと、深く考えさせられます。