テストも成績表もなく、自治と体験に基づいた学びを大切にし、「自由な」教育を行なっている息子の学校。いつもいつも言われるのは、「それは理想的よね。でも現実問題として、その後の進学はどうなるの?」ということ。

我が家の場合は、まだまだ途上なので、何も断定的なことは言えませんが、ご興味のある方も多いので、中学3年生の状況を書いてみます。

これは、あくまでも息子個人のことなので、全ての方に当てはまるわけではないと思います。

また、わたしは、息子の学校がとても好きで、学校のオトナのことも信頼していますが、このような「自由な教育」が、この学校でしか受けられないのはもったいないと思っています。もっともっと、一般的な社会や家庭で、1つの選択肢として、このような考え方が広まってほしい、という思いで学校のことを書いています。

一般的な学校に通っていたとしても、親の考え方が1つ、伝え方1つで物事の見方をガラリと変えることができるのではないかと思っていますので、そう言った意味でもご参考になれば

 

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息子の学校は、小中学校なので、中学校までで卒業です。

その後の進路は実にさまざまで、和歌山にある系列校の高等専修学校や、全国にある「自由な教育」を掲げている学校、あるいは、ごくごく「普通」の県立高校や都立高校、私立高校、専門学校や海外などなど、一概に言えません。わたしが知らないだけで、もしかしたら「弟子入り」など、進学以外の道に進んだ人もいるのかもしれません。

普段から「学力偏重主義、学歴志向の風潮に一石を投じる」と明言している学校では、親が世間の一般的な基準に基づいた価値観で、受験勉強や偏差値、学歴についてとやかく言うことを嫌います。

それよりも、小中学校の貴重な時間は、今しかできないことをし、今しか持てない自由な発想を広げてほしい、と言うのが学校の意向です。

 

親として不安な気持ちがゼロと言うと嘘になってしまうかもしれませんが、できる限りこの方針に添えるように、息子が混乱しないように、と言うことをこれまで意識してきました。

とは言え、どんなに意識しても、都会で社会生活をしている以上、完全な「箱入り」は無理ですから、ほどほどのバランスだと思います。

 

2年生の中ごろから、例えば週末に通っている運動の仲間の間でも進学について話題が出てくるようになり、呑気にしていたわたしや息子のことを心配して情報を下さる方(親御さんやコーチ)もたくさんありました。

わたしは、親として知っておくべきことは、ありがたく感謝して情報をいただき、頭に置きながらも、息子が学校と世間の間で翻弄されないように気を配りました。

学校からの受験指導は全くありませんが、縦割りのクラスで活動していますので、子どもたちは、中学に進学した時から毎年3年生が受験に向けて勉強をしたり、オトナに質問しているのを見ています。なので、自然と心構えは生まれてきていたようです。

 

3年生になって、いよいよ最後の年になった頃から、息子も将来について考えるようになりました。

とは言っても、まだ息子の場合は、大きい意味での将来像と言うよりは、自分が中学を卒業してやりたことは、何なのだろう?という程度。

希望者には学校から「学習参考書」が渡されたそうです。わたしは、全然知りませんでしたが、息子は、希望して受け取り、自分で進めていたようです(学校見学に行った時に、机に並べてありました)。

息子が進学にあたって大切にしたいと思っていることは3点「自分が今頑張っているスポーツ(種目)ができること(部活動があること)」、「勉強もそこそこできること」、「個性を重視した自由な教育を行なっていること」です。

そして、そのような高校に行くためには、相応の受験勉強をしなくてはいけないのだということに気がついたようです。

5月の連休頃から、自分の受験勉強について相談に乗ってくれるところに行きたいと言い出し、古い友達のお父さんが経営する小さな個人塾に行くことを希望しました。

自宅学習(実際には寮ですが)できるテキストをいただき、どうやら寮の団らん室?自習室?でほかの3年生と勉強しているようです。と、本人が自己申告するわけもなく、同じ寮の子たちが、親御さんにしゃべっているのが、わたしに伝わってくる感じなのですが。

 

少なくとも、今の段階で息子にとっての「受験勉強」は、「大変なこと」、「可哀想なこと」、「緊張感をはらんだこと」でも、まして「人と競争するためのもの」でもなくて、「今まで知らなかったことを教えてくれる面白いこと」であり、「自分がやりたいことをするために必要なこと」のようです。

 

長くなったので、続きます。