お友達のteteさんが紹介してくれた、「病気の魔女と薬の魔女」を読みました。

ホメオパシーの考え方は(ホメオパシーだけではないですが)、「病気になるのは、ウイルスのせい」や、「病気は悪」や、「病気は薬(ワクチンや抗生物質)で治る」や、「ワクチンを接種することで、インフルエンザに罹らない」と言う、今の日本社会の一般的な考え方とは、ちょっと異なるのですが、信頼する友の推薦書だから、そんな先入観は持たずに読んでみよう、と思い、読んでみました。

著者の岡田晴恵さんとおっしゃる方は、国立感染症研究所の元研究員の方で、H5N1ウイルス(鳥インフルエンザ)によるパンデミックに関して、以前から警告を発していらっしゃった方のようです。

ウイルスやバクテリアと、ワクチンや抗生剤を魔女になぞらえ、小学生にもわかりやすいように、物語として書いているのが特徴ですので、さらっと読めてしまい、それぞれの病気の特徴もよくわかります。

ウイルスやバクテリアによる感染が安易に恐怖心をあおるように書かれているのが心配ではありますが、必ずしもこれらを「悪」ととらえていないところは安心しました。

それぞれの病気の魔女が、人格(?魔女格?)をもって描写されているのが、なんかちょっとホメオパシーっぽいな、とも思いました(物語全体は、全然ホメオパシーっぽくはないですが)。

H5ウイルス(鳥インフルエンザ)の魔女は、「頭も顔も、人間のシャレコウベ。深く暗い穴のような目の中に、赤い目玉だけがギョロリと動き、ボロボロの黒のローブは、背中が裂けて、そこから大きな鳥の羽が突き出しています。(87ページ)」なのだそうです。なんとなく、レメディ像が浮かんで来るような気がしませんか?

「ワクチンを接種すれば、インフルエンザを100%回避できる」というような印象を与えることに関しては、先日も書いたような意見もあり、賛成しかねるのですが、よーく読んでみるとこんなことも書いてあります。

天然痘ワクチンが発明されたくだり(ここでは、そこまではっきりとは書かれておらず、魔女の経験として書かれていますが)で、天然痘という当時「恐ろしい」とされていた病気が流行していた頃のこと。

牛の乳しぼりをしていた女性達は、この病気にかかることはなく、あばた(天然痘でたとえ亡くならなかったとしても、顔にあばたが残ったとされている)もなく美しい顔をしていた。なぜなら、毎日乳しぼりをすることで、牛の病気である牛痘に感染(手の甲におできができて、消える)し、天然痘の免疫ができるから(130ページあたり)・・・。

物語の中では、「だからワクチンを接種しましょう」的な流れなのですが、もう少し深めて考えてみると面白いかも。
もしも、この女性たちが、完璧に滅菌して、クリーンスーツを着て乳しぼりをしていたら、どうでしょう・・・?

きっと、彼女たちは、牛痘にかかることなく、他の人たちと同じように天然痘に感染して、亡くなったり、あばたができていたことでしょう(現代社会において、食品を扱うのに、不潔にしていていいいよ~、という意味ではありませんからね!お間違いなく)。

「だから予防接種を打とう」なのか、「だから、小さい病気を恐れることはない(→自然に逆らったやり方で、小さい病気を避けることで、より大きな病気を得てしまうかも)」なのかは、それぞれの考え方の違いでしょう。

私は・・・今のところ、後者かな?
色んな読み方のできる、面白い本です。