1日目の「アイガモをいただく」は、こちら。

2日目は、年末の田起こしに引き続き、来年へ向けての田んぼの準備、畦(あぜ)きり、溝きりを行いました。

田んぼの水が抜けている間に、崩れたり、モグラが穴を開けた畦をきちんと修復して高くし、水が漏れないようにするのが「畦きり」。

そして、畦に沿って溝を掘っていき、水を入れた時に田んぼ全体に均一に行き渡るようにするのが溝きりです。水を入れてしまってからではこの作業が出来ないので、地味ですがきちんとやっておくべき大切な作業なのだそうです。

まずは、1年の間にモグラやら虫やらが開けた穴で緩んでしまった畦を固めるべく、皆で一列になって畦を踏み固めます。去年の今頃やった麦踏みを思い出す作業。モグラの掻き出した土が盛り上がっている所は、特に念入りに、いち、に、いち、に。

その後は、角スコップを使って、一年の間に崩れて低くなってしまった畦の縁を削り取り、畝を高くして固めます。

土は湿って柔らかいので、一見そんなにハードな仕事のように見えませんが、不自然な態勢で持ち上げる土は重く、さくさくと進む作業ではありません。

切った畦のすぐ際に、平鍬で溝を切って行く担当もいます。

1枚目の田んぼは全員(と言っても、いつの間にか小さい人軍団は「ごっこ遊び」に興じていたので大人全員・・・という意味ですが)、もう少しやりたい~という数人で、2枚目の田んぼに取り掛かりました。

途中、若い研修生(今日は、休みなんだけれど、この名物講座に参加したくて来た!と)も加わり、和気藹々と作業は進みます。

そう、私たちが行っている田畑仕事は、ある意味「イベント」。ハードではあっても、仲間達と声を掛け合いながらできるし、生活がかかっているわけでもありません。

最後にゴルゴが言った言葉。「田んぼの畦を土のまま残すことで、蛙やら、蛇やら、虫が住むことができ、生物の多様性が守られます。だけれども、この畦を保つことが、どんなに大変なことか、体験してみると分かるかと思います。お年寄りが一人でやっている田んぼなど、この作業を続けることは、本当にきつく、最近では、畦をコンクリートにするところが増えています。『生物の多様性を守るために畦は土のまま残すべきだ』と言うのは、簡単ですし、それは、正しい。でも、そういうことを言う人は、こういう作業を体験してから言ってほしいと思います。」胸に響きました。

ゴルゴは、作業中、飲みながら、こう言ったことを言葉で、態度で何度も何度も私たちに伝えてくれてきました。

今は、「田んぼ体験」、「畑体験」が大流行だそうで、さまざまなところで、田植えや稲刈りの体験ができます。

でも、それだけじゃなくて、田起こしや今回の作業、田植え前の代掻き、ヒエ取り、籾摺り、畑の堆肥作り(動物小屋に堆積した糞をこそげ落としたり、切り返しの重労働など)、踏み込み温床など、様々なことを体験させていただけたのが、ゴルゴとありっちょの「ようちえん」シリーズでした。体験すればするほど、自分たちの口に入るものができるまでの間に成される作業の膨大さに圧倒されるような気がしました。

素人の私たちにこんな体験をさせてくださるために、スタッフの方々は、さらにたくさん、たくさんの準備、後片付け、保全などしてくださり、ご自分たちの経験や知識を惜しみなく分けてくださいました。

そして、そのような心遣いのお陰で、このシリーズの仲間たちは、とてもよいつながりを持つことができ、小さい人たちはのびのびと作業をしたり、遊んだり、時には喧嘩をしたり、叱られたりしていました。自分の子でなくても、躊躇なく褒めたり、叱ったり、抱っこしたり、お手洗いに連れて行ったり・・・という姿がこの仲間の間ではしょっちゅう見られ、新しいスタッフが参加すると、「親子の組み合わせがわからない」と驚かれます。

「ようちえん」と言いながら、大人が本気になって楽しむことができました。

そんなホールアース自然学校の「ようちえん」シリーズも、スタッフの入れ替わりにより、残念ながら今年度で終了だそうです。

単なる参加者であるはずなのに、こんなにも無念に思っている自分が不思議なくらいです。いつの間にか、私たちの心の中に、毎月通うホールアースの田畑が、深く根を下ろしていました。

「森と田んぼのようちえん」の卒園記念として、アイガモの羽をあしらった、手作りのドリームキャッチャーをいただきました。
来月は、「畑」の最終回です。