20代、30代、ずっと研究開発の仕事をしていました。

世の中にないものを生み出す仕事でした。

0から1を生み出すことは、誰にも理解してもらえない、誰とも相談できない。

本当に本当に苦しいけれど、大きな喜びもありました。

その頃は、他の人の実験結果や研究成果を集めて体裁を作って発表する人のことを、少し軽蔑もしていました(嫌なヤツですね)。

研究者同士、「他人のフンドシで相撲をとって」なんてひどいことを言っていました。

そのうち、組織の中では、0から1を生み出す以外に、

1を10にする人、10を100にする人、
1から10にするための仲間を募る人、
その人たちが働きやすいように整える人、

たくさんの人たちがお互いに関わり合い、大きなものを創るのだということを知りました。

それでも、わたしはやっぱり0から1を生み出すことに喜びを感じる人で、
道のないところに道を作りたい、という魂は、きっと生涯変わらないということに気付きました。

今の仕事は、みんなが生きやすくいられるためのお手伝い。

それは、個人セッションであったり講座であったり発信であったり。

そんな中でもわたしの魂は変わっていません。

教わったことだけでは飽きたらない。
自分で試行錯誤して、経験して、腑におちてからでなければ、
わたしにとっては「他人のフンドシで相撲をとる」ことになってしまう。

講師をやってほしい、ということは、実際に始める何年も前から自分の師に言われていました。

でも、誰か知らない人が作ったテキストをなぞって、誰か知らない人の経験を語って 講師をやることは、
わたしにとっては極端な話「許しがたい」ことでした。(誤解のないように強調しますが、あくまでも、わたし個人の在り方に関してです)

そして、広く世界を知るうちに、一つのテキスト、一つの方法論だけを見ていたのでは、伝えられることは本当に限定的で、時に危険であることも知りました。

だから、敢えてまた
0から1を生み出すという、
誰にも理解してもらえない、誰とも相談できない、
本当に本当に苦しいけれど、大きな喜びもある、と分かっている作業に乗り出しました。

そんなふうにして、わたしの講座たちは生まれています。

もちろん、今の仕事は、何10年も、何100年も伝わる先人たちの知恵を学ぶところにもありますから、完全に0からではありません。

だけれど、つねに研究者魂は忘れることができずにいるのも事実です。

わたしは、そんな風にしかいられないから。

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